【チャレンジシステム】が判定の難しさをゲーム的要素に転嫁した
現代のテニスファンであれば当然ご存知のチャレンジシステム。WOWOWやGAORAなどでテニス観戦をしていると、微妙な判定の時にたびたび登場しますね。
実はこのチャレンジ・システム、ただのイン・アウトの判定機ではありません。とてもアイディア溢れる使い方をされています。
今日はちょっとそのアイディアを紐解いてみましょう。
スピードアップにより難しくなったテニスの判定
現代テニスはどんどんボールのスピードが上がり、審判の判定も難しくなってきています。そして当然ながら審判も人間ですからミスはおかします。絶対に間違えない審判なんてありえません。
とはいえ、多くのテニス選手は審判の判定に不信感を持ったままプレーをしていました。そして多くのテニスファンも審判の判定に疑問を持っていました。
現代では多くの試合がテレビで放送されていますし、会場の大型ディスプレイでもプレーのリプレイ映像が表示される事があります。
しかたがって、審判の判断が正しいか?間違っているのか?試合を観戦しているテニスファンにはわかってしまうのです。当然、プレーをしている選手にだってわかります。大事なポイントでの微妙な判断は、審判の威厳にも関わるので難しい問題でした。
インスタントリプレイの導入
そんななか、ホークアイ という審判補助システムを、2005年に国際テニス連盟が導入を決定。テニスの試合では「チャレンジシステム」または「インスタントリプレイシステム」と呼ばれています。
(参照)【本田雅一のAVTrends】スポーツ界を変える「ホークアイ」審判補助システム -AV Watch
そして、ここからが大事な所なのですが、このチャレンジシステムは使用できるルールが決まっています。何時でも何処でも何度でも使用できる訳ではないのです。
・選手は、1セットについて3回、チャレンジ権が与えられる。
・審判の判定が正しく、選手が間違っていた場合には、選手はチャレンジする権利を1回失う。
・チャレンジで判定が覆った場合には、チャレンジする権利を失わずに引き継ぐことができる。
・タイブレークに突入した場合には、それぞれ1回ずつチャレンジする権利が付加される。
・次セットにチャレンジする権利は繰り越せない。
以上を読むとわかりますが、審判に対してチャレンジ(誤りを指摘する)をするタイミングは選手が選ぶことになるんですね。
ここに新たなゲーム性が生まれました。
審判の誤審という大問題を、選手が判断すべきゲームにすり替えてしまったんですね!
なんと斬新なアイディア!
チャレンジシステムが与えた影響
チャレンジシステムの導入により、選手だけでなく、見ている観客自身もストレスから解放されました。
「絶対入っているからチャレンジすれば良いのに!」
「入ってないからチャレンジしても無駄だよ!」
観客席やテレビの前で叫ぶテニスファンにとって、チャレンジシステムは新たな楽しみを与えてくれました。もうストレスはありません。(チャレンジシステムの精度が落ちると、別なストレスが増えますが・・・)
テニス選手・審判・そしてファン、全ての人にとってプラスに働いたチャレンジシステム。これは単なるカメラの技術進歩ではなく、ゲーム性を付加することによって楽しみを増すことに成功した、スポーツ界のビックアイディアといえるでしょう。