【せどり】&【転売】のルーツとアイディア
現代の「せどり」や「転売」
大勢の大人が人気のおもちゃの発売日に量販店に並んでいたり、開店前のブックオフにパチプロ風の男性が長蛇の列をなしたり、購入個数制限がかかっている記念コイン販売所で販売員に喰ってかかっている大人などを皆さんも見た事があるかと思います。
最近はテレビや雑誌、新聞等で度々とりあげられている「せどり」や「転売」。皆さんご想像の通り、あれって当然お金のためですね。
みんなが欲しいと思っている商品を逸早く手に入れ、お店に買いに行く事ができないサラリーマンや地方の人にインターネットで販売する。
昔と違い、今ではAmazonやヤフオクなどを使えば、個人でも気軽に商品を販売する事が出来るようになりました。そしてebayなどを使えば、海外までも販売先に含めることがでいるのです。
そんな素晴らしい時代である反面、お金目的の転売者がいるが故に、自分が本来手に入れる事ができる商品が手に入れる事が出来なくなったり、不当に価格がつり上がったものを買わなくてはいけない消費者が出てきています。
そんな現在はわるいイメージの「せどり」や「転売」ですが、その元のルーツは何だったのでしょうか?どんなアイディアが元だったのでしょうか?少し前置きが長くなりましたが、紐解いてみましょう。
(悲報)【悲報】ブックオフとヤフーが提携してせどり終了!! | netgeek
本来のせどり
本来のせどりは、わかりやすく説明すると「古本屋A店で安く売ってる価値ある古書を購入し、価値ある本を高く買取る古書店Bに売り、その利ざやを得る商売」です。
昔のせどり
インターネットが普及する前は、多くの読書量を経て、本当に本好きで、本の価値がわかる人しか出来ない職人気質の商売でした。
少し前であれば、ブックオフの100円コーナーに並んでいる状態の悪い本の中から、価値ある古書、価値ある古書の初版を購入して、それを昔ながらの古本屋に売るという商売でした。価値ある本は高値で取引されていたのです。
本の価値をキレイさに求める新古書店と、本の内容に求める昔ながらの古書店の間で利益を抜いたんですね。
古書店主は自分の店を離れる事は出来ませんから、本当に価値ある古書を売りにきてくれる「せどり」をしてくれる人とは、意外と良好な関係でした。
金額も数百円単位なので、年金暮らしの人や、浮浪者、時々大学教授や知識人が行なうひっそりとしたものだったようです。
本の数年前までは誰も知らなかったと思いますが、こちらの本のドラマ化され、随分と多くの人に知られたのではないでしょうか?
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
- 作者: 三上延
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/03/25
- メディア: 文庫
- 購入: 32人 クリック: 2,758回
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とはいえ、これが本当に高価な本になってくると、若干趣が変わります。
価値が高い本であれば数十万円で取引されることもありますし、価値ある本を持っている資産家の家には強盗が入ることもあります。そして自分が探し求めていた本を露店商で見つけた本の収集家(ビブリオ)は思わず失禁してしまうほど興奮すると言われています。
現代のせどり
それに対し現代のせどりはシンプルです。
ブックオフのような量販店で販売されている本とインターネットの販売価格の差で取引します。
例えば、ブックオフで500円で購入した本をネット書店のAmazonで1,000円で販売した場合、Amazonに手数料を15%支払ったとしても350円の利益が得られます。このような本を一日10冊売れば3,500円の副収入となりますね。
「せどり」のプロの方々はこの方法で大量に本を仕入れて売ります。一回の購入で段ボール数箱分になり、数十万円の購入をします。
ただ、コレだけの数を買い求める「せどり」がいると、一般的な普通のお客さんにとって楽しいものではありません。お金だけを求めている「せどり」の人は社会的ルールを守らず購入をするので、一部の店舗ではせどり禁止になったくらいです。
現代の転売
一般的な現代の転売は、子供向けの「妖怪ウォッチ」グッズを量販店で買い占め、Yahoo!オークションやAmazonでの販売や、記念コインを購入しての転売、急な増産がしづらいアニメのフィギュア(人形)の転売です。
それらの人気商品はお店では在庫切れになり購入できませんので、どうしても購入したい人は転売の人と競って行列に並ぶか、インターネットの販売店に発売と同時にアクセスするか(かなり難しいです)、インターネットのオークションなどで定価以上になっている商品を購入するしかありません。
忙しいサラリーマンが行列に並ぶのは難しいので、結局はYahoo!オークションやAmazonで高値で購入する人があとをたちません。ある意味、古い時代の経済至上主義のシステムが回っているともいえます。
「転売」は、リサーチ力と恥ずかしさに負けないメンタルがあれば誰でも出来ます。なので見た目にはちょっと変な人たちがいるのは間違いありません。子供向けの商品にオッサン達が行列を作るのはちょっと一般人の感覚としては異常を感じますが、彼らは明確なルール違反をしているわけではありませんので、規制は出来ないのが現状です。
日本で一番最初の「せどり」「転売」
ここまであまりいい印象のない「せどり」と「転売」ですが、日本で最初に挑戦した人の話を書いてみたいと思います。
日本で最初に挑戦したのは、「紀伊國屋文左衛門」という商人だといわれています。
紀州で大豊作だったミカンを、多くの商人が江戸に運ぼうとしたところ、嵐のために船を出すことができません。当然余ったミカンの価格は上方(関西)では大暴落。逆に、江戸では紀州からミカンが届かず、ミカンの値段は高騰しました。
ここに目をつけたのが紀伊國屋文左衛門。
上方で安いミカンを購入し、江戸で高値で売れば儲かると考えたんですね。そのために紀伊國屋文左衛門がやったことは・・・渡航の決行です(笑)
嵐の中、ミカンを沢山積んだボロ船で江戸を目指す・・・そんな命がけの航海をなんとか成功させ、紀伊國屋文左衛門は見事に「転売」に成功します。リスクをとったことで巨万の利を得たのです。
その後、これに味をしめた紀伊國屋文左衛門は以下のような商売を閃きます。
大坂で大洪水が起きて伝染病が流行っていると知った文左衛門は、江戸にある塩鮭を買えるだけ買って先に上方で「流行り病には塩鮭が一番」と噂を流し上方に戻った。噂を信じた上方の人々は我先にと塩鮭を買い求め文左衛門が運んできた塩鮭は飛ぶように売れた。
これにはちょっとビックリですね・・・商人の品位を下げてしまう印象があります。とはいえ、現代もマスコミと業者が組んで消費者を煽っていますので、結局は変わらないのかもしれません。
とにもかくにも、紀伊國屋文左衛門はアイディアと行動力で価格差を見事にビジネスに結びつけました。皆さんのまわりにも、多くのミカンが眠っているかもしれませんね。