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【エプソン】のプリンターはインクで儲ける

みなさんはどちらのメーカーのプリンターを使っていますか?

 

現在、日本で大きなシェアを持っている会社はエプソンEPSON)です。こちらの会社はプリンター業界に斬新な販売戦略(アイディア)を持ち込んで、日本での地位を確固たるものに固めました。

 

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日経シェア調査2014」によれば、インクジェットプリンターの日本での出荷台数のプリンターメーカー別シェアは表の通りとなりました。インクジェットプリンターの雄・写真が綺麗なカラリオでお馴染みのセイコーエプソンEPSON)が首位

(参照)プリンターメーカー 一番売れてるプリンターメーカーは?

 

今日はその販売アイディアを見てみましょう。

 

一万円以下で買える格安プリンター

 

大手の家電ショップに調べに行くと、沢山のプリンターが販売されています。その中で、やはり消費者がプリンターを選ぶ基準は・・・やはりなんといっても価格ですよね。そして機能、ブランドと続くでしょう。

 

もし、この3つを完全に網羅しているプリンターがあったら・・・当然、購入しますよね?

 

それがエプソンのプリンターなのです。

 

日本の有名企業が作っていますので、当然ながら価格と性能は問題ありません。写真印刷も可能で、パソコンとの連携はスムーズで簡単。さすが日本の技術力。そして、問題はその価格です。

 

その価格が・・・

 

なんと1万円以下!(2015年現在)

 

これは本当に素晴らしいですね。

 

実際に使ってみると?

 

プリンターを購入してみると、箱の中には以下のものが入っていました。

・プリンター(本体)

・インク

・印刷物

 

早速プリンターをパソコンにつないでみましょう。インクを差し込んで起動すると、インクを補充する時間が若干ありますが、すぐに非常に快適に使えました。これで1万円であれば最高にお得です。

 

エプソンはこの家庭用インクジェットプリンター事業にかなりの力を入れているので当然かもしれません。

セイコーエプソンエプソンのインクジェットプリンタ事業は、ホーム・オフィス領域と、商業領域に分類しているが、その内約8割をホーム・オフィス領域が占めている。

(参照)【大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」】エプソンがインクで儲ける仕組みから脱却する日 〜2014年度は3割がプリンタ本体収益モデルに転換 - PC Watch

 

しかし・・・当然、良い事ばかりではありませんでした。

 

交換用のインクカートリッジが高い!

そう、インクが無くなったので、交換用のインクを買いに行くと・・・1個1,000円以上するのです!

 

2個入れるタイプのものだとそれだけで2,000円以上。カラー全色が揃っているセットは約6,000円近くします。これではせっかく本体を安く購入した意味がありません。

 

インク交換の度にこの不条理さを感じます。しかも、印刷の質が落ちたところでヘッドクリーニングを行なうと、インク使用量に拍車がかかり、あっという間に残量が減ってしまいます。これにはちょっと・・・

 

ここまで書けば、エプソンのプリンターを使った事が無い人も、このビジネス・モデルに気がつきましたね。

 

エプソンのプリンターはインク販売で利益を得ていた!

 

そう、エプソン・プリンターのビジネス・モデルは、

高い技術を必要とするプリンター本体を安く提供し、安く提供できるはずのインクカートリッジを高く販売して利益を得ていたのです!

 

これはゲーム機(プレイステーション3)などと同じビジネス・モデルです。赤字でいいから本体(ハード)を沢山販売し、市場を押さえてからソフトで利益をとるモデルです。

 

このような、「ランニング・コスト」で利益をとるビジネスモデルを、エプソンはプリンター業界に持ち込んだのです!これは画期的アイディア。(今となっては当たり前ですが…)

 

 

問題点とアイディアの応酬。

 

しかし、一見完璧に見えるこのビジネスモデルですが・・・当然ながら弱点が存在します。

 

消費者はもっと安くなる方法を模索し、その需要に気がついた小さなメーカーは迅速に開発を進めました。

 

それが、非純正インクカートリッジの開発です。

 

とある業者が使用済みの空のインクカートリッジを集めて、安いインクを補充し、安く売り出したのです。中国などのアジアで生産すれば、それまでの10分の1の価格でインクカートリッジが生産可能です。まさに、アイディア戦略をアイディアの力で切り返した例と言えるでしょう。

 

しかし、今度はエプソンを始め、多くのメーカーが違ったアイディアで対抗します。それが大容量プリンタの販売です。一度失敗したビジネスモデルでしたが、新興国で再投入する事で、再び脚光を浴びています。

大容量インクタンクモデルは読んで字のごとく、通常のインクカートリッジの変わりに機体側面に大容量のインクタンクを設置したプリンタだ。通常タイプとの最大の違いは、ビジネスモデルにある。大容量タイプは価格が通常品の2~3倍するが、インク単価は10分1程度。つまり、従来の「インクで儲ける」ビジネスモデルの逆を行く。

(参照)エプソン"大容量プリンタ"がヒットしたワケ | 企業戦略 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 

このように、企業は絶えずアイディアを出して、戦略を練りなおします。この戦いに終わりは無いのかもしれません。