時代を変えた【機動戦士ガンダム】は打ち切り作品だった。
イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すと誤解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。
(参照) イノベーション - Wikipedia
『アニメは子供が見るもの』
多くの大人がそう思っていました。世界的に有名なディズニーでさえ、今でも考えは同じかもしれません。
作品のターゲットは子供であり、そのストーリーには整合性が無くても問題ありませんし、勧善懲悪であり、現実離れした設定がほとんどです。
しかし、日本のアニメは違います。大人の観賞に堪えるだけのドラマと社会性が込められた作品が多く存在します。では、日本のアニメーションはいったい何処で画期的に変わったのでしょうか?イノベーションが起こったのでしょうか?
玩具を売られるために作られたアニメーション
1979年以前、アニメーションというのは、おもちゃを売るために存在していました。アニメーション制作には多額の費用が必要だったので、その費用を捻出するためにスポンサーの存在が欠かせないものだったのです。
当時のアニメーションはおもちゃ会社や学習教材会社、そして食品業界がスポンサーだったので、当然ながらアニメーションは子供向けの作品ばかりだったのです。
また、30分の放送枠であった事から、1時間のテレビドラマやクイズ番組、2時間の野球中継などに比べて大企業のスポンサーが付きにくく、テレビ局の営業収益面において不利と考えられていました。
アニメーションの常識を打ち壊したガンダム
そこに登場したのが「機動戦士ガンダム」です。富野由悠季総監督の元に、今までのロボットアニメーションとは違った、【本格的SFドラマ】として制作されました。
それまでにもロボットアニメはありましたが、その内容は宇宙からやってきた謎の生命体を合体ロボットで撃退するという子供向けの内容でした。
それに対して「機動戦士ガンダム」は、人間と人間、国と国との戦争の話でした。登場人物の多くは実際の戦争と同じで死んでいきます。そして軍隊内の人間関係や政治のゴタゴタ、そして少しの恋愛など、未来の話とはいえ多くの視聴者にドラマ性を感じさせました。
(参照)ミハル・ラトキエ ( アニメーション ) - りんごのブログ園 - Yahoo!ブログ
登場するロボットに関してもモビルスーツと新名称を発表し、それまでのロボットアニメの常識を超えた、よりリアルな戦略兵器としての色合いが濃いものが多く登場しました。
実際の戦争にならい、長距離戦、中距離戦、白兵戦と距離別にタイプが違う三つのロボットが構想された(それぞれ後のガンタンク、ガンキャノン、ガンダムである)。ロボットの名称について、パワードスーツのままでは訴えられる懸念があったので「モビルスーツ」にした。
その他にも量産型の概念。戦艦・巡洋艦・補給艦などの実際の軍隊と同じ設定の宇宙戦艦が登場したり、地球での戦いと宇宙空間での戦いで兵器が違ったりと、バラエティに富んだ兵器の登場はマニア心をくすぐりました。
しかし・・・
視聴率は全く伸びず、第43回放送で番組は打ち切り。(放送第7話では1.9%という最低記録をマーク)
革新的な内容に対し、時代が追いつかなかったようです。
伝説となったアニメ
打ち切りは視聴率だけの問題では無かったようで、色々な話が残っています。
『機動戦士ガンダム』は初回放送時、人気がなくて打ち切りになった、という話は、ひとつの「歴史的事実」となっているように思われるのですが、当時『ガンダム』にかかわっていた人たちによると、『ガンダム』という作品は、リアルタイムでもかなり人気があったみたいです。 しかしながら、ここで紹介されている関係者の話によると、その人気があった世代が高校生~大学生で、玩具の売上につながらなかったため、スポンサーとしては番組を続けることを望まなかった、というのが事実のようです。
(参照)活字中毒R。
しかし、なんと再放送で人気が大爆発。
そして再放送に合わせて投入されたバンダイのプラモデルが大ヒット。テレビアニメを再編集した3部作の映画も記録的興行成績を収め、社会現象と呼ばれるまでなりました。
一連の流れを追っているとわかりますが、時代を待つこと無く、常に革新的なことを実践していく事によって、この日本アニメのイノベーションは起きました。そこにはスティーブ・ジョブズのように消費者が望むものを想像し、作り出す姿勢を見ることができます。
素晴らしい作品は消費者に受け入れられるのに時間がかかることも考慮すると、イノベーションに最も必要なのは情熱かもしれません。
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